FullSizeRender
1917 Views

牛乳輸出への挑戦


今年のもうひとつの大きな事業は、アジア攻略のステップとして台湾へのマーケティングを開始したことだ。初めに台湾に目を付けた理由は、今から6年前の2009年に遡る。その年、大根、たまねぎ、人参、かぼちゃといった有機野菜を台湾へ輸出する事業で何度か台湾を訪れる機会があった。
2008.10.15日本経済新聞
当時から北海道ブランドは定着しつつあった台湾だが、いまでは北海道に訪れる外国人観光客の割合が30%以上と、断トツの一位になっている。6年前よく耳にしたことは、「北海道の牛乳・乳製品が好きだ」、「北海道で酪農をしたい」、「北海道にいつか住みたい」というものだった。また、百貨店やスーパーの催事場では、北海道物産展もよく行われていて、北海道から多くの食品が輸出されるようになっていた。北海道産というだけで、消費者の興味は高く、とりわけ乳製品に対する関心は極めて高かった印象がある。それを裏付ける事例として、北海道****という商品名の食品を店頭でよく見かけた。もっとも印象的だったものは、北海道**牛乳とネーミングされた牛乳で、北海道とはまさに名ばかりの現地で製造された牛乳だった。何を隠そう、この牛乳パッケージの成分表示には、北海道的技術と書かれていたのだ。これは、現地生産された生乳を、北海道の殺菌技術で製造したという意味である。そして、その値段だが当時で1リットル400円を超える店頭価格で売られていた。商品名に北海道と付けるだけで、商品そのものに価値が出ることを、この牛乳は物語っていた。それ以来、いつか台湾に本物のおいしい牛乳を輸出するということが、私の大きな夢となった。

価値を正当に評価してくれる相手に適正価格で

さて、TPPが大筋合意されて以降、政府主導による輸出に向けた動きが活発となり、クールジャパンを筆頭に輸出を後押しする政策が次々とリリースされている。食糧自給率の課題を解決せぬままに、輸出を進めることに対して違和感を覚えるのだが、敵が攻め入る前に敵に攻め入るということだろうか。国策はさて置き、私の考えとしては価値を正当に評価してくれる相手に適正な価格で流通させたいというものだ。国内であろうが海外であろうが、その価値を正当に評価して買ってもらえる相手に商品を販売するべきだと考えている。国内においては、近年の牛乳消費量は、1996年をピークに、一転して減少傾向で推移し、2013年にはピーク時に比べ3割減少の350万キロリットルと、17年間で150万キロリットル減少している。一方、アジア諸国からの牛乳需要は高まり、2008年に起きた中国におけるメラミン混入粉ミルク事件以降、中国産乳製品に対する敬遠が、アジア諸国における牛乳需要に拍車をかけている。その中で、もともとの北海道ブランドに対する信頼性もあり、まさに日本一の酪農大国「北海道」の牛乳・乳製品に大きな期待が寄せられているのだろう。需要のあるところに販売する、これは商売の鉄則であるから、どの国よりも北海道を愛してくれる台湾へ牛乳を輸出しようと考えるのはいたって自然のことだ。
しかしながら、台湾はアジア諸国の中でもっとも食品に対する衛生基準が厳しい。また、食品の中でも牛乳は、その取扱いと衛生基準はもっとも厳しい。その牛乳を台湾へ輸出するには、賞味期限、動物検疫、物流、貿易通関、関税など数々の障壁を乗り越えなければならない。そういった意味で、台湾へ新鮮牛乳を輸出するのは、登山を始めたばかりの初心者がいきなり富士山へ登頂するようなものかもしれない。したがって、台湾への牛乳輸出を果たしたとしたら、その他アジア諸国への輸出は比較的容易に進むのではないかと考えている。去る12月16日に台湾へ向けてテスト輸送した牛乳が、12月23日に台湾のビジネスパートナーの手元に無事届いた。ただ、この一歩は私たちの夢の第一歩でしかない。本格的な輸送には、まだまだハードルはあるが、それらを乗り越えて、新年には目指すべき頂への登頂を果たしたい。

投稿者について

大沼 康介

大沼 康介

url: http://asa.hokkaido.jphttp://ksk.hokkaido.jp
北海道札幌市生まれ(1969年)石狩市在住。農業をサポートする仕事に携わって10年、知れば知るほど農業界の奥深さを実感。 多くの起業家が生まれる土壌を北海道に作りたい。 北海道の開拓魂が日本を変える力になると信じて、起業と新産業の創出を後押ししていきたい。 新規事業のサーバーとしての役割を発揮できるよう、自分自身も起業家精神を忘れることなく邁進していきます!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です