11535932_802908549823159_306295976541277926_n
634 Views

農場カメラマンの誕生秘話


農場カメラマン伊東隼さんの写真は、見た人の心の中にある故郷を思い起こさせてくれる。それは寂しさや悲しさといった哀愁のようなもので、誰もが心の奥深くに抱く失われた記憶なのかもしれない。

この写真は、伊東隼さんがどうしても撮りたかったという田植えの風景。機械化が進む中、昔ながらの手作業で田植えをしているシーンをずっと追い求めていたという。麦わら帽子を被り、腰を曲げながら田植えをする光景は、いまやほとんど目にすることがなくなった。伊東隼さんはこうした子供の頃に見た記憶を探し求めて、毎日、畑や田んぼ、牧場を駆け巡っている。

嫌いだった父がくれた幼児体験

多くの人に感動を与える伊東隼さんの原点は、きっと幼少期の大切な思い出の中にある。先日、伊東隼さんの一番の思い出を聞いたことがある。それは、伊東隼さんが小学2年の頃にお父さんが連れていってくれた登山での出来事だ。家庭を顧みずにいくつもの事業を興して、ほとんど家にいなかったお父さんが、まだ小学2年だった伊東隼さんを登山に連れて行き、山の中腹で伊東隼さんに山から街の景色を見せてくれたという。ところが、そこで休憩を取って下山するのかと思ったが、お父さんはさらに上へ行くと言う。「ここは、まだ山の中腹じゃ。父さんはまだ登るけど、お前はどうする?」「僕はここで待っている。」お父さんは伊東隼さんをおいて、さらに山に登りはじめ、見る見るうちに小さくなっていく。それを見て伊東隼さんは、ものすごく不安と恐怖が襲い、泣きながらお父さんの後を追いかけた。へとへとになって、やっとの思いで山の頂上にたどり着いたとき、「隼、ここからの景色を忘れるなよ!」と言われ、飛び込んできた景色は、山の中腹で見た景色とは比べ物にならない、視界を邪魔する木々も山々も何もない、360°の大パノラマだった。

その後、お父さんは家族を捨てて家を出て行ったそうだ。尊敬できることなどひとつもない父から、唯一、伊東隼さんが学んだことは、天辺に立って見る景色は天辺に立たなければ見ることができないということ。あの時の感動と良き日の思い出が、伊東隼さんの写真への情熱を燃やし続けているのではないだろうか。そして、そんな伊東隼さんの郷愁への思いが写真に乗せられて、見る者たちを郷愁へ誘うのかもしれない。

投稿者について

大沼 康介

大沼 康介

url: http://asa.hokkaido.jphttp://ksk.hokkaido.jp
北海道札幌市生まれ(1969年)石狩市在住。農業をサポートする仕事に携わって10年、知れば知るほど農業界の奥深さを実感。 多くの起業家が生まれる土壌を北海道に作りたい。 北海道の開拓魂が日本を変える力になると信じて、起業と新産業の創出を後押ししていきたい。 新規事業のサーバーとしての役割を発揮できるよう、自分自身も起業家精神を忘れることなく邁進していきます!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です