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ミツバチが消える!?~破れかかった生命の網~


この季節になると、テレビCMも衣替えして、フマキラーに代表される殺虫剤のコマーシャルを目にすることが多い。アリやハエに蚊といった害虫と戦う季節が今年も到来するが、心なしかウンザリしている読者も多いことだろう。それほど、我々にとって「虫」は人間生活にとって邪魔な存在なのだが、虫や微生物から見れば、人間こそが自然生態系を破壊する悪魔のような存在に違いない。

ミツバチが人類の行方を左右する

ある説によると、この21世紀は地球生命の歴史上6回目の大きな絶滅危機、つまり6500万年前に恐竜が地球上から突如として消えて以来、最大の危機を迎えているという。最近では、ミツバチが大量死したというニュースが世界中に飛び交っている。アインシュタイン説によると、「もしミツバチがこの地球上から消えてしまえば、人類に残された時間は4年である」という。2013年の8月、北海道でもミツバチが大量死するという異常な事態が起きた。数千匹に上るミツバチの死骸が発見されたのだ。ちょうどその年の5月、EU=ヨーロッパ連合が、ある農薬の使用を規制すると決定した、それは、ネオニコチノイド系農薬。僅かな量でも殺虫効果が高く、長もちするということで、近年、世界中で夢の農薬として、広く普及している。その使い方としては、種子にネオニコチノイド系農薬をコーティングすることで、農薬成分を種から植物に浸透させるのだが、その後の農薬散布は一切不要なのだという。つまり、根から茎、葉、実の細部まで農薬を染み込ませることを意味する。

地球の生物圏は、クモの巣のように互いに編み込まれた「生命の網」であり、そこにはありとあらゆる生き物が、生態的地位をもってそれぞれの役割を果たしている。こうした「生命の網」が人間の経済活動によってバランスを失い、その歪が生態系環境のバイオリズムに悪影響を及ぼしているのだ。生態系というものは極めて複雑で、秩序と無秩序のきわどい狭間で、微妙なバランスの上に成り立っている。人間生活もこうした生態系の一部だと考えるなら、過度な経済活動による自然破壊をいまこそ自粛しなければ、取り返しのつかない事態を招くような気がしてならない。

微生物こそ大事な働き手

人間は死して土に帰るというが、その土の中には実に多種多様な虫や微生物が暮らしている。私たちが害虫として忌み嫌う虫たちも、この土の中から誕生してその世界で生きている。厚さ1ミリメートルの土がつくられるには100年、10センチの土は1000年の時間がかかる。そして、その土の中には1億個のバクテリア、それと昆虫や原生動物の10%が息づいているのだ。こうした微生物が活動することで土が耕され、それからもたらされた栄養で野菜や果物が育てられていることを知らなければならない。私たちの日々の食卓に載る野菜や果物を作っているのは、農家でもましてや人間でもなく目に見えない虫たちの働きによるものなのだ。大自然のスケールから考えると、私たち人間はこれら微生物が働きやすい環境作りを補助する以外の何者でもないのだ。

これからの季節に戦うアリやハエ、蚊も人間にとっては、「汚い」「煩い」「痛い」「痒い」不快な存在かもしれないが、生態系にとっては間違いなく必要な存在で、ミツバチと同じように彼らのいずれが絶滅したとしても、自然循環のメカニズムに大きな悪影響を及ぼすことは疑いようがない。彼らが私たちの暮らしを犯しているのではなく、私たちが彼らの棲家を奪っていることを私たちが自覚するなら、嫌な存在である虫たちに、破れかかった「生命の網」を再生してもらうことができるかもしれないと思うのだが。

投稿者について

大沼 康介

大沼 康介

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北海道札幌市生まれ(1969年)石狩市在住。農業をサポートする仕事に携わって10年、知れば知るほど農業界の奥深さを実感。 多くの起業家が生まれる土壌を北海道に作りたい。 北海道の開拓魂が日本を変える力になると信じて、起業と新産業の創出を後押ししていきたい。 新規事業のサーバーとしての役割を発揮できるよう、自分自身も起業家精神を忘れることなく邁進していきます!

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