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経営者なら知っておくべき「事業」と「金儲け」のお話


こんにちは。経営コンサルタントの境です。

 

今回は、ちょっとした実験的小話にお付き合いいただけると嬉しいです。

それは、日本人にフィットする経営とは、どのような姿か、というお話しです。

 

「金を儲ける」というという言葉を耳にしたとき、どのような印象を抱きますか?

この質問に対する回答は地域や業種によってマチマチだと思います。特に北海道では否定的というかネガティブに捉えられる傾向が強く、それは経営者でも同じですね。北海道に限らず、日本人の気質として金儲けを好ましくないこと、と捉える傾向は強いような気がします。一方で、事業でも投資でも何でも構いませんが、「儲け」を取り扱っている情報はとても人気があります。ということは、ストレートに「金儲けをしたい」と言葉に出さなくても、ココロの奥では求めている人が少なくない、と言い換えることができそうです。

様々な経営者とお話しすると、金儲けをしようと思っているわけじゃないけれど事業が順調に成長しているケースに出会うことがあります。逆に、金儲けをしたいなんて気持ちは全くない、日々生活できるだけの資金が得られるならば幸せだ、といいながらも、期待するだけの資金が得られないで苦労している方にも出会います。金儲けを目指していない、という言葉は同じ両者ですが、決定的に違う部分を発見しました。今日は、その背景について考察してみます。

 

まず、大前提となるのは、「金儲け」を否定する人の本音は何か?ということから始めましょう。
現代の日本人は、今より少しだけ豊かな明日を求めていると思います。そこで求める豊かさの尺度は、単にお金やモノが増えることよりも、ココロが豊かになることを求める傾向が強いことは、以下の内閣府調査を見れば明らかでしょう。

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この傾向は経営者も同様だと思います。今より少しでも豊かになれたら嬉しいですよね! とはいいつつ、金儲けと聞くとネガティブになってしまう。そこには、日本人の潜在意識に刷り込まれた仏教感が関わっている気がします。「欲望」を否定する感覚ですね。でも、やっぱり欲望は捨てられないことも、よく知っているはずです。とするならば、表面上は金儲けを否定しても、ココロの奥では自分を満たしてくれる最低限以上のお金が欲しい、という気持ちがある、といえるでしょう。

この点をはっきりさせたいのですが、言葉の良し悪しは別として、「儲け意識」を否定するのであれば事業を営まない方がいいと、私は思っています。決まった時間を労働することで、その対価として給料を貰う方が、そういった人には向いているはずです。でも、儲けようと思えば思うほど利益は付いてこないという現実もあります。困ったものです。

 

先ほど例に出した2人の経営者を思い出すと、非常に興味深いことに気付きます。それは、経営者がお客さんをどのように見ているか、という視点です。

 

苦労している経営者と色々お話ししてみると、「お客さんを集めることには様々なテクニックがあると見聞きしているけど、自分は金儲けを願っているわけではないので、そんなことはしたくない」と仰います。私が思うに、その方は「面倒くさい」んだと思うんですね。その証拠に、より深く集客について話を進めると、ますます表情が暗くなってしまいます。大儲けしたいわけじゃないけどお金が欲しいという本音が隠されているにも関わらず、です。様々なやり取りで気付いたのですが、この方はお客さんを「人」として見ていません。だから、お客さんが集中する時間帯には不機嫌になってしまいます。そんな気持ちはお客さんに伝わりますよね。でも、素晴らしいことがあります。親しい間柄の人にはとても優しいんです。サービス満点になるので、リピーターは少なからずいるんですね。だから、そういう気持ちになれるお客さんを増やしましょうよ!と言ってみたのですが、やっぱり面倒なんですね。残念なことです。

一方、経営が順調だけど金儲けという言葉に拒否反応を示す方の場合。この方は、どんなお客さんにも徹底的に心配りをしています。お客さんの顔が「お金」に見えるような経営者には絶対ならない、そんな意識を抱いたばかりに失敗した同業者を沢山見てきた、と仰います。この方は、金儲けという言葉は大嫌いだけど、ビジネスとして仕組みを作り上げることで適切な収益を得ることには力を注いでいます。なので、(言葉使いに問題あるかもしれませんが)儲けをきちんと意識していることに違いはありません。

 

以前、ある有名な経営コンサルタントが集客策を「魚釣り」に例えて話していました。どのような仕掛けやエサを使うと良いのか、撒き餌はどうするか、そういった様々なことを意識しないと釣果は上がらない、という説明です。たとえ話なので聞き手に伝わり易い説明をしたかったのだと思いますけど、、、、

苦労している経営者は、海に釣り糸を垂らして何時間もじ~っと待っているような運営をしているように思えます。もし、このような方が集客策に目覚めたときには、さきほど書いたコンサルタントの着眼点がシックリ来るかもしれませんね。

もうひとりの経営者がこの話を聞くと、きっとびっくりするでしょう。お客さんを魚に例えるなんて有り得ない、と激高するかもしれません。

 

お客さんを「人」とみると、その人が行動してくれるような仕組みが重要だと気付きます。一方で、お客さんを人とみなしていないなら、仕組みという言葉よりも仕掛けという方がピンと来るかもしれません。これって、「農業タイプ」と「狩猟タイプ」に分類できるんじゃないでしょうか?

 

農業タイプは、ザックリいうと、戦略を練ってじっくりひとつひとつ実践を重ねる手法。

狩猟タイプは大きく分けて2パターン。ひとつは自ら積極的に狩りにいく方法で、もうひとつは罠を仕掛けて待つ方法です。

 

畜産はちょっと違いますが、農業の場合、収穫する物を「作物」とか「農産物」と呼びます。一方、狩猟の場合は「獲物」を採ることが目的です。素潜りの漁業を想像してみてください。「採ったど~!」って叫ぶタレントがいましたよね。アレです。

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これを企業経営の農業タイプと狩猟タイプに当てはめてみると、お客さんを「育てる」とみるのか、「獲物」とみるのか、という違いになるかもしれません。

狩猟の場合、重要なポイントは「仕掛け」です。何の仕掛けもないままにジャングルを歩きまわっても、生き抜くことはできないでしょう。狩猟型経営も同じです。そのため、あらゆる方法を仕掛けなければ上手くいきませんし、最終的に採り切らなければ成果は得られません。

農業の場合、重要なポイントは「計画」です。土壌の状態を把握して作付する品目を選び、長期の天候予報等も参考にしながら計画的に植え付け、育て、収穫します。農業型経営も同様です。自社の経営資源を把握し、周辺環境の変化等を踏まえて計画を練り、実行します。

共通項としては、農業でも狩猟でも、前回までの経験を活かして新たな計画(作戦)を立てることが重要なのはいうまでもありませんし、農業型経営も狩猟型経営もこの点は同じです。

 

より日本人にフィットしそうな方法は農業型経営だと思いますが、現実的には、狩猟型経営の方向に意識が向く人が多いように感じています。これはアメリカからの輸入品であるマーケティング論の影響が大きいかもしれませんね。最近注目されているビッグデータなんて典型かもしれません。POSデータを統計的に扱い、ある層のお客さんに売れる商品を提案するというプロセスは、同種の魚が好むエサ付けて釣り上げる発想に近い印象です。そこには、お客さんとの関係を育むという発想は皆無ですね。

もちろん、どちらを選択されても構いません。そのときには、自ら理解したうえで歩むのが良いと思います。

 

ここで言いたいことは、

さあ、あなたならどちらが心地いい選択ですか?

という話です。

人は、心地よいことしかできない生き物と言われています。好きなことはどんどんできるのに、苦手意識があることは後回しになってしまいます。

それは企業経営でも同じです。

でも、結果を求めるのなら、農業型と狩猟型のどちらを選ぶか、決めて進むのがよいと思います。これが曖昧なままだと、結局のところ、統一感のない経営になってしまいますし、そういった違和感に最も敏感に反応するのはお客さんですから。もちろん、「あ、違ったわ」と気付いたら、大きく方向転換しても構いません。

ある雑誌編集者とお話しをしました。その方は漁業系の専門誌から農業系の専門誌に転職した方です。彼は、農業者と漁業者とでは人種が違うくらいのギャップがあると教えてくれました。それくらい違うのですから、自分にフィットする道を選んで歩んで欲しいと願ってやみません。

 

農業タイプの経営を志す方には、実際に農業を営んでいる方々に直接会って語り合う機会を作ることをオススメします。ビジネス本を読んだりセミナーに出席するのとは違う深い気付きが生まれますよ!

さあ! 一緒に農家の友達を作りましょう!

投稿者について

境 毅

境 毅

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糞尿で世界を救う事を夢見る、愛妻家でゲーマーなコンサルおじさん。

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