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バターから見える日本の未来とは


全国的にバターが不足していて、洋菓子メーカーや商社がバターの調達で走り回っている。バターの不足はいくつかの要因が複合的に絡み合って起きている。ほとんどの洋菓子メーカーはオランダ、ニュージーランド、アメリカといった外国産バターを原料としてきたが、円安の煽りを受けてバターの仕入価格が高騰し、同時に異常気象により乳牛のエサとなる穀物が不足して生乳の生産が減ることで、外国産バターの供給不足につながっている。

また、日本も例外ではない、生乳生産量はここ5年の間は毎年約10万トンずつ減少して、とりわけ、バターや脱脂粉乳向け加工原料は5年前に比べて50万トンほど減少している。ならば、全国で生乳を1番生産している北海道なら、バターを調達できるかもしれないと、菓子メーカーや商社からの問い合わせが後を絶たない。しかし、物事はそう簡単には解決しない。言うまでもなく、生乳の52%は北海道で生産されているのだが、北海道といえども、この5年間で10万トン以上の生産が落ちているのだ。その原因は平成18年の生乳生産調整にあるといえる。生乳の生産計画と販売計画が噛み合わなかったため、生産した生乳を廃棄させたことで、その負担が現場の生産者に重くのしかかった。生産調整によって廃業に追い込まれたもの、やむなく牛を処分したもの、自らの命を絶ったもの、それぞれの生産者に重たい選択を迫った。また、そのときの痛みがいまの後継者不足にもつながっている。生産調整によって背負ったリスクを我が子には背負わせたくないという子を想う親の心が、もしかすると離農を加速させている大きな原因かもしれない。

同じ生乳であっても、生乳はその用途によって単価に大きな差がある。例えば飲用向けの乳価が90円/kgだとすると、加工向けは50円/kgという計算だ。差額の40円は海外から輸入される乳製品にかけられる関税から生産者に補填されている。乳製品メーカーは70円/kgで原料を仕入れてバターやチーズに加工している。製造されたバターは1200円/kgで菓子メーカーが仕入れスイーツなど洋菓子に加工するといった流れになっている。仮に洋菓子メーカーが生産者から直接原料を調達する場合には、生乳並みの単価で引き取れるかどうかが重要なカギではないだろうか。また、バターを製造するためには、加工工場を設備しなければならない。そのため、洋菓子メーカーは必然的に原料コストを20%~30%は負担するか、ユーザー(消費者)に負担を求めなければならない。生産者もメーカーも負担するにも限界がある。やはり消費者が負担すべきだと考えるが、消費者が理解するには説明と時間が必要だろう。

過去の生産調整のように、いままでは生産者が多くの負担とリスクを背負わされてきたが、これからは時代が大きく変わるだろう。お金を高く積んだところで、食糧が手に入らなくなる時代が始まっている。原材料がなければ、加工して高い商品を作ることもできないし、その生業そのものが成り立たなくなる。生産者に負担を押し付けてきたツケが回ってきたのだろう。消費者ひとりひとりが、バター不足から将来の日本をイメージすることができるなら、食料を生産する生産者と農業の価値に気付くことだろう。

投稿者について

大沼 康介

大沼 康介

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北海道札幌市生まれ(1969年)石狩市在住。農業をサポートする仕事に携わって10年、知れば知るほど農業界の奥深さを実感。 多くの起業家が生まれる土壌を北海道に作りたい。 北海道の開拓魂が日本を変える力になると信じて、起業と新産業の創出を後押ししていきたい。 新規事業のサーバーとしての役割を発揮できるよう、自分自身も起業家精神を忘れることなく邁進していきます!

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