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規模拡大か付加価値の創造か、あなたの道はどっち?


北海道の農業はその農地面積の広さを生かし、長い時間をかけて規模拡大路線を走ってきた。大量の原料(農産物)を主に府県の食品メーカーやスーパーなどに大量供給することで、利益は薄くてもスケールメリットを出してきた。いわゆる原料供給基地に甘んじてきた歴史が、北海道農業のいまの流通システムを作り上げてきたのだ。まさに薄利多売で、美味しいところはすべて府県の業者に持っていかれるという安売りを繰り返している。

規模拡大には創意も工夫もいらない、ただ栽培面積を増やし機械設備を大型化すれば良いから、必要な資金さえ手当てできれば規模拡大は容易に取り組むことができる。しかし、付加価値の創造となると、無から有を生み出すアイディアを生み出せるかどうかが鍵なので、その実現の困難さは桁違いに大きくて道のりは険しい。北海道はその雄大さのあまり、取り組みの楽な規模拡大に走り、頭を使わなければならない創意工夫を怠ってきたと言える。そのため、食の自給率200%を誇る北海道にも関わらず、その貧しさから脱却できないでいるのだ。

さて、乳牛600頭を飼育するメガファームと乳牛60頭を飼育する付加価値型酪農を比較したい。紹介する付加価値型酪農は、規模拡大路線から一転、チーズの加工販売、レストラン経営に業態を変化させ、従業員数は120人を超える産業にまで成長した。一方、道東に多く見られるメガファームは従業員数10人に満たないどころか、そのうち4人が外国人研修生である。売上規模はどちらとも6億円である。どちらが、地域産業として貢献しているかは言わずもがなである。付加価値型酪農は牛1頭で従業員2人の生活を養っているが、メガファームは従業員1人で牛60頭を飼育している計算だ。牛1頭あたりの売上を比較すると、メガファームは100万円、付加価値型酪農は1,000万円と10倍にもなる。企業が従業員を雇用できるということは、それだけ企業が利益を出しているということであり、雇用した従業員のアイディアで、さらに付加価値を創造するという好循環を生み出すことも可能になる。

この比較に照らして北海道を見つめると、北海道農業はまさにメガファーム型であり、そこには創意工夫による付加価値の創造などまったくない。北海道が貧しさから抜け出せない原因はここにある。農業の6次産業化が叫ばれているが、個々の農業が躍起になって6次産業化を進めても、北海道全体から見ると蟻の一穴にもならない。求められることは、「地域単位の6次化」、「農協単位の6次化」であり、府県に任せていた加工業務を地域がひとつになって内製化することである。地域に農業を核とした産業を興せば、過疎化に苦しみ疲弊する地域にも人が集い、地域に賑わいが生まれる。付加価値型酪農の事例にあるように、地域に10倍以上の売上と10倍以上の人口にすることも夢ではない。大切なことは、創意工夫して付加価値を創造することであり、大量に安く売りさばくことではない。農協改革で拙速な判断を下す前に、じっくりと立ち止まって、これから取り組むべき価値ある課題を整理する時ではないだろうか。

投稿者について

大沼 康介

大沼 康介

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北海道札幌市生まれ(1969年)石狩市在住。農業をサポートする仕事に携わって10年、知れば知るほど農業界の奥深さを実感。 多くの起業家が生まれる土壌を北海道に作りたい。 北海道の開拓魂が日本を変える力になると信じて、起業と新産業の創出を後押ししていきたい。 新規事業のサーバーとしての役割を発揮できるよう、自分自身も起業家精神を忘れることなく邁進していきます!

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