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日本人は外国製?


地球上のどこに住んでいようとも、人類の体の細胞組織はすべて、その土地の水と空気、そして口を経て食べたものでつくられている。その論でいけば、日本の食料自給率は39%だから日本人の体の61%は外国製ということになってしまう。つまり平均的な日本人は体の4割は何とか国産で維持しているものの、6割は外国産ということになる。人里離れて仙人みたく自給自足的な生活を送らなければ、純国産の体を持った日本人は出現しない理屈になる。

しかし、これは「食」だけで見た世界。これに「衣」と「住」を加えて勘案すると、もっともっと酷い国産率になる。われわれが日常身に着けている衣服はほとんどが化学繊維で作られている石油由来製品。ウールも輸入羊毛。住宅も輸入材の比重が極めて高い。いよいよ仙人みたいな生活をしなければ、純国産の日本人の体、純国産の暮らし方には到底なり得ないことになる。しかし、現実的には不可能だ。

人間はひとたび便利で快適な文明からの洗脳を受けたならば、仙人が暮らすような非文明の社会では到底暮らしてはいけない。文明社会はかくも人間を非自然に順応させたのである。身も心も、文明の真只中だ。

肉体の成り立ちも、快適生活を送るための必需品も、その多くを外国産(製)に依存する日本人が、真に日本人足らしめる最後の「砦」とは何であろうか? それは日本人特有の心の持ち方、つまり精神性である。日本人の精神性とは簡単にいえば「富士山を見て感動する」、「満開の桜を観て浮き立つ」といったような花鳥風月、四季折々に感じる感性である。「若水を汲む」、「初詣に行く」といった暦や習わしを生活の中に根付かせている慣習法的な暮らし方である。「いただきます」や「もったいない」を解する精神性である。

さらに、何よりも「土」への執着心や帰属意識。「土ごときに帰属意識とは大げさな」と思われるかも知れないが、土は豊かな実りをもたらし、死をもって人はふるさとの土に帰るのだから筆者は土への帰属心と表現したい。

日本人の多くは農耕する中で定住し、集落をつくってきた。集落は文明の発達と共に土への執着を削ぎ落とし、やがて現代の都市のようなアスファルトで覆われた非自然の文明都市を作っていった。土を見たり、土を触る生活から離れ、徐々に心身で感じる農耕性は失われて、農業に無関心な、食べ物の出所にこだわらない国民へと変貌した。だから「あなたの体の6割は外国産ですよ」といわれても驚かない。

せめて日本人である証、いにしえからある日本にある精神性だけはしっかりと持ち合わせたいものである。私は、「頑として日本人でありたい」と思うのだ。

投稿者について

山田 勝芳

山田 勝芳

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留萌市生まれ(1952年)の札幌育ち。地元出版業界にどっかり根を下ろすこと40年。外に対しては「本州資本に対抗する視点、脱・植民地の視点」、内に対しては「真に豊かな北海道共同体づくり」という理念の下、実体験に基づく北海道論を展開。現在、月刊ISMとイーハトーヴを主宰。

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