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鶏卵から見える日本の“食”思想


鶏卵は95%が国内産だ。普段目にする鶏卵のほとんどは国内産と見て、まず間違いない。ところが鶏卵の自給率(カロリーベース)は、なんと10%だ。これはなぜか?

そう、鶏の餌はほとんどが輸入された穀物が与えられているからだ。消費者がどんなに「地産地消」を心掛けても事業者の餌選びは「遠産遠消」なのだから、消費者の「地産地消」の試みは鶏卵に関しては報われないのだ。

そして、鶏卵事業者は分類上、畜産業だ。畜産業は第一次産業「農業」の分類だ。しかし、筆者は「鶏卵生産は農業ではない」と考えている。直感で表現すれば“鶏卵製造工場”だ。とことん第二次産業に近い。

鶏は卵を生産する機械のごとく扱い、狭い鶏舎にぎっしり詰め込んで飼育する(バタリーケージ飼育)。一羽当たりの平均占有面積はB5サイズにも満たないほど狭い。EUやアメリカの特定州では、動物愛護の観点から問題があるとして、このバタリーケージ飼育は禁止されている。日本ではそうした機運は残念ながら、今はその動きがない。

家畜や家禽は食されるために飼育されているのだが、人間と家畜・家禽の関係においてもフェアな関係があってしかるべき。さすがEUはフェアトレードの発祥地、家畜・家禽との接し方もフェアである。筆者は日本もそうであってほしいと願う。人間に食されるために、家畜や家禽はやがてと殺される。だから謝意の念を込めて「いただきます」がある。ならば、B5の広さに閉じ込めて飼うやり方にとても“謝意”は感じられないのだ。

「鶏卵は物価の優等生」といわれるのだが、こうした飼育法のなせる技だ。その中身を知ってしまえば、ついつい思い悩んでしまうのだ。

さて、鶏小屋のある小学校がある。係りを決めて当番制で飼育管理する。鶏小屋から採取される鶏卵とスーパーで並んでいる鶏卵とは飼育法に大きな違いがあるのだが、食育授業で子どもたちに鶏卵について学習するとき、どのように教えたらいいものだろうか。鶏たちの快適度は雲泥の差だ。実像を教えるべきか、やっぱり悩んでしまう。

投稿者について

山田 勝芳

山田 勝芳

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留萌市生まれ(1952年)の札幌育ち。地元出版業界にどっかり根を下ろすこと40年。外に対しては「本州資本に対抗する視点、脱・植民地の視点」、内に対しては「真に豊かな北海道共同体づくり」という理念の下、実体験に基づく北海道論を展開。現在、月刊ISMとイーハトーヴを主宰。

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