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食料自給率200%は誇れない!?


北海道を一国に見立てたとき、食料自給率(カロリーベース)は200%だ。豪州173%、カナダ168%、米国124%、フランス111%、日本39%で、北海道は断トツなのだ。日本の39%だって、北海道産でカバーした上での数値だから、北海道を除く日本の数値はもう少し低い数値になる。各国とも余剰分は輸出に振り向けられるから、日本以外はいずれの国も(北海道も)食料輸出国ということができる。

それぞれの生産量でどのくらいの人口を維持できるか考えると、北海道の1,100万人分に対して、豪州3,800万人分、カナダ5,700万人分、米国3億8,440万人分、フランス6,882万人分、日本4,756万人分となる。「何人分の糧を生産しているか」の視点に立てば、北海道はそれほど膨大な量を生産しているわけでもない。そして、悲しいかな、日本にいたっては人口12,200万人を支え切れていないことがわかる。国民の生命をつなぐだけの生産能力がないのだ。いや、生産調整を求められているといったほうが的を射る。食料安保なき国、なんと酷い国だ。先進国で唯一人口減少に向かうのも妙に頷けるというもの。

食料生産が優位にある国は、TPPともなれば日本に輸出攻勢をかけてくる。「ならば日本も逆輸出で攻勢をかける」とうそぶく輩もいる。しかし、日本は食料自給率39%だから、北海道産は海外輸出というよりも本州の不足分を補う国内向けと考えるほうが自然だ。

TPP前夜、政府は「農産物輸出に活路」みたく触れ回っているが、輸出攻勢をかけられるほど生産量は多くないではないか。余剰分は「ない!」のだ。もし、それが可能だとしたら、それは特別なもの(川西長いもや青森産りんごなど)と考えたほうが実際に近い。

可能性があるのは、農産物というより「加工食品」の分野である。高付加価値のつく加工食品ということになれば、残念ながらそれは農業とはストレートに直結しない。北海道ならワインや清酒といったところか。今、農業の6次化が叫ばれているが、大きな設備投資をしなければ大それた、高付加価値のついた商品開発はできない。本州資本の食品大手のほうが、遥かにビジネスチャンスがあるというものだ。だから、北海道は素材を提供する農業から脱却して、農業側も参加できる製造手段を道内資本側で持たなければ農業者の所得向上とはなってこない。

「雪印メグミルク」や「明治」、「森永」ではなくてオール北海道で「新北海道乳業」を興す。「サッポロビール」ではなくて「新北海道ビール」を興す。カルビーではなくて「新北海道ポテト」を興す。ハムの類もまた然り。「富の分配」を基本とする北海道方式を発案していかないとダメ。北海道産の原料をしっかりと使い、利益は原料を供給した農家にもしっかりと還元する。農業と製造業のジョイントで、農家も豊かになり強力な製造手段も持てる。農業の6次化はこういう着想が必要ではないのか。本州資本にひれ伏す植民地根性からもう脱却すべき時だ。

投稿者について

山田 勝芳

山田 勝芳

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留萌市生まれ(1952年)の札幌育ち。地元出版業界にどっかり根を下ろすこと40年。外に対しては「本州資本に対抗する視点、脱・植民地の視点」、内に対しては「真に豊かな北海道共同体づくり」という理念の下、実体験に基づく北海道論を展開。現在、月刊ISMとイーハトーヴを主宰。

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