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農産物規格は不条理なり


地方に行くと、道の駅や農家の敷地内に野菜などの直売所を見かける。新鮮!安い!つい買ってしまう筆者の買い癖。ここでは規格も規格外も区別なく、堂々と売られている。ひと山、ひと袋いくらと値段がつけられて上手に売られている。収穫物にロスが少なく、農家にとって好都合だ。ひとつひとつに生産者の名前入りだから、「買ってもらった!」という実感も湧く。また、道の駅なら場所代くらいの負担しかかからない分、農家の手元に残るお金もぐっと多くなる。何よりも自分で売値を決定できるから、直売所は理想の形だ。

しかし、今日のようにスーパー中心の販売では農産物規格に適合した、粒よりの野菜だけが同じ値札をつけて売られる。陳列やレジ業務の煩雑さを避けたいという店側の都合だ。そのせいで畑の農作物には規格外は3~4割も出るといわれるから、まさに「もったいない」世界である。

規格外のトマトやにんじんのようにジュースになどに再利用される以外は廃棄される。解決法は法律のような強制力を持って、「農産物の規格化をやめること」以外にはない。国がやらないのであれば道条例でやれば良い。値段がばらばらであっても消費者に少しも不都合はない。面倒くさいのは流通側だ。

次に問題となるのは農家から小売店(スーパーを含む)に届くまでに、いくつもの経費がかさむ流通システムだ。直売所とは違って市場の競りがあり、農家側に価格の決定権はない。百円の野菜なら、手元に20~30円くらいにしか農家に残らないといわれている。先にあげた直売所とは雲泥の差だ。これでは農家経済は絶対に良くならない。儲からなければ、後継者も逃げてしまうというものだ。このシステムが蔓延っているうちは農家所得の改善はない。

農産物の流れを図解で表すと、農家JA集荷所物流(運送会社)札幌中央市場仲買人(青果会社)小売店消費者へとなる。このように輸送費のほか、下線を引いた4ヵ所でマージンや取り分が加算されるから農家の手元にはわずかにしか残らない。直売所と比較すれば凄い差であり、不条理なシステムといわざるを得ない。この農作物の流通システムを大胆にメスを入れないと、農家が儲かる体制にはならない。

中間の経費を極力少なくする方法を考えなくてはならない。例えば、札幌市が空き用地を無償で貸して常設のマルシェを設置したり、行政サイドがヤル気になればいくらでもできるはず。市内至るところにマルシェができたら、札幌市民も喜ぶし近郊農家も助かるはず。中央市場やスーパーはいい顔しないだろうけれど、まあ、良いではないか。

かくして現行の農産物規格も流通システムも不条理なり。「水」よりも安い「牛乳」の値段も摩訶不思議な不条理の世界。消費者自身も農畜産物の価格をもっと冷徹に考えるべき

投稿者について

山田 勝芳

山田 勝芳

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留萌市生まれ(1952年)の札幌育ち。地元出版業界にどっかり根を下ろすこと40年。外に対しては「本州資本に対抗する視点、脱・植民地の視点」、内に対しては「真に豊かな北海道共同体づくり」という理念の下、実体験に基づく北海道論を展開。現在、月刊ISMとイーハトーヴを主宰。

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